青ジソの季節がやってきた。匂いの記憶がよみがえる。

〜青ジソの記憶〜

6月下旬。青ジソがどんどん成長してくる。

青ジソの葉を摘むと、切り口から溢れ出てくる香り。毎年この匂いを嗅ぐたびに、幼い頃の遠い記憶がよみがえる。

真夏の夕暮れ時、台所で夕飯の支度している母が私を呼んだ。「ちょっと、アオジソ15枚取ってきてー!」母に指定された量のシソ葉を摘むのは、なかなかに手間がかかった。外は日が暮れかけて薄暗い。畑の隅にあるシソ葉の群生ゾーンに足を踏み入れるやいなや、蚊がこちらにめがけて飛んでくる。
片手で青ジソを摘み、もう片手で蚊に噛まれた足を掻きながら、枚数をカウントしてゆく。摘み終わったシソの葉を握りしめて台所に駆け込み、すぐさま足にウナコーワを塗りたくった。

台所では、揚げ油のが威勢良い音がする。食卓には、揚げたてのカリカリした青ジソの葉の天ぷらが並んだ。夏になると、我が家の食卓には3食のうち2食には必ず青ジソが登場したような気がする。

今でも覚えている、お昼のメニューがある。
それは、茄子とベーコンの入った焼うどんだった。仕上げに、細かく刻まれた青ジソがたっぷり混ぜられていた。うどんをほおばると、シソ葉の端と切り口のギザギザが口の中に当たった。さらには花ガツオもまぶしてあって、それはそれで口の中でガサガサした。
「お母ちゃん、このうどん、シソとカツオがガサガサして痛いよ」
母に訴えたが、これこそが栄養ぎょうさんあって身体にええんじゃ、文句言わずに食べられえ、とたしなめられた。
とにかく母は、青ジソが好きで好きでたまらなかったようだ。

新鮮な青ジソが、旬の時期にはいつでも欲しいだけ採れる。これがいかに贅沢なことかと実感したのは、親元を離れて一人暮らしを始めてからだった。夏場のスーパーの野菜コーナーに、しおらしく首をうなだれた青ジソが5枚ほど束ねられてパックされているのを見た。なんとたったこれだけで百円以上もの値段がしていて、びっくりした。

ちなみに青ジソのこの独特の匂いの元は、葉の「裏」にあるという。ここに、香り成分の油分の入ったカプセルがたくさんくっついているのだ。大人になってから知った。
青ジソを食べる前に洗う時には、葉の裏についている香りカプセルが取れてしまわないよう、細心の注意を払ったほうがよさそうだ。

〜青ジソを使ったレシピ〜
『シソじゃこご飯』

材料:

炊きたての白いご飯、青ジソ、チリメンジャコ(もしくはシラス干し)、梅干し、ゴマ、塩こぶ、ゴマ油

作り方:

①青じそは数枚、軽く水洗いして幅1cmくらいに切ってから縦に細かく千切りにする。
②梅干しは種を取り除きみじん切りか、もしくは包丁の背で叩いてペースト状にする。
③塩こぶも、調理用ハサミで小さめに切り刻む。
④ ①〜③と、チリメンジャコ、ゴマを混ぜ、ごま油適量入れてすり混ぜる。
⑤炊きたての白いご飯に④を好きなだけ乗せて、出来あがり。

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