時々無性にラーメン屋に足を運びたい衝動に駆られる。
暖簾をくぐってカウンターに座る。店員さんに注文して、運ばれるのを待つ。ホカホカ湯気の立ちのぼるラーメン鉢を覗き込み、麺をすする。
この一連のプロセスには、お店でならではのラーメンを堪能できることはもちろん、自宅で作るラーメンでは決して得られない五感に訴える悦びがある。
しかし、外食でラーメンを食べるたびに十中八九、必ずといっていいほど残念に思うことがある。それは「スープの塩分があまりにも濃すぎる」という事実。
ふだん外食はあまりせず自炊が主なので、塩加減は調理中だけでなく出来あがった料理を食べながらも自分好みにカスタマイズする。薄すぎると足して濃いと薄めて、調味料や素材を適当に見つくろいながら、自炊だとそこらへんの融通がきく。
だが、外食のラーメンではこれに限界がある。
カウンターの上には塩やコショウ、ニンニク、唐辛子のきいた漬物など味をカスタマイズできる調味料が置いてあるが、全て「既にあるものに更に味をプラスする」ものばかりだ。塩味を「減らす」ことはできない。
かといって、出されたラーメンの塩加減について店側にストレートに注文をつけるのはためらう。
「うちのラーメンが食べたくて来たんだろう、それを塩からいなどとケチをつけるのは何ごとだ、野暮ったい態度だ」と、店側から暗黙に批難されるんじゃないかと思ってしまう。外食業界の中でも、特にラーメン関係業界に関しては、その店舗独自の味は堅く守ってナンボ、という風潮が強い気がする。しかし、いつも食べ終わった後モヤモヤと釈然としないものが残るのだ。せっかく自分の欲求を満たすために、時間とお金を費やしてラーメンを食べにきているのに、明らかに自分の味覚にそぐわない高塩分のスープを「店で出された味こそ正統なのだ、ラーメンの塩分とはこんなものだ」と自分に言い聞かせて食べるのは、根本的に間違っているんじゃないかと。
というわけで、全国のラーメン屋さん。どうかお願いします。
せっかく貴店で丹精込めて作ったスープ、お客さん個々の味覚に合わせて提供して欲しい。そのためにも、客側が気軽にスープの塩分調整ができるような仕組みを作ってくれませんか?
例えば、メニューなどに「熱湯や塩気のないスープベース等を追加できるサービス」があることを明示するなど。
もしもこういったサービスがあれば、私のような薄味好きが大喜びすること間違いないだろう。それだけではなく、ドクターストップ等で塩分を制限する必要のある人たちにも、気軽に外食のラーメンを楽しむことができるのではないだろうか。
私は、ラーメン屋でしか食べられないラーメンを、五感で心ゆくまで味わいたい。
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